2019年に買ったのですが、当時は忙しく結局読まずに放置していた書籍です。
今更ながら読んでみたので感想を述べます。
ダークサイドとは直訳では「暗黒面」だが、ここでは「副作用」「弊害」「罠」「悪用」などの裏側にある事象を知ることで生産性を上げられるというとても為になる書籍で、「もっと早く読んでおけば良かった」と思いました。
それではまず私が一番刺さった序章「論理思考のダークサイド」について説明をします。
ロジカルシンキング 人間の思考は論理<感情で動く
たとえ論理的で事実に基づく話であったとしても、相手が感情的に受け入れないケースは往々としてある。
私にも経験があるが、以前部下に対して数値結果に基づき今後の話をしているにも関わらず、当人はその数値結果を認めず「会社が悪い」などと暴言を吐いて退職されたことがあった。
後日周囲のスタッフに話を聞いてみると人間関係が著しく悪く、業績どころではない状況であったようだ。その状況に気づけなかった私の落ち度である。
こう言ったことを気づかせてくれる内容だった。
問題解決 問題の本質を見誤って的外れな行動をする
あるべき姿と現状のギャップを埋めることがすなわち問題解決である。
昔のアメリカにおいて、宇宙でボールペンが使えるようになるための研究費として数百万ドルも費やしたが成果は出なかった。その間、競合国は鉛筆で対応していたという典型例が記してある。
組織においても問題解決を行う過程において、前述のように議論が感情でとっ散らかって、全く異なる内容に変わっていくことを経験したことがある人が多いと思います。
また、解決のための対策が見当違いな内容になっている、そもそも議論に時間を掛けすぎ手遅れになったなど様々な事例を紹介してくれている。これもビジネスシーンにおいては重要な項目だ。
分析のための分析になっていないか
分析とは情報を細分化し実態をつかむこと。そしてポイントを押さえ問題を課題に変えゴール(目標)を設定し対策を打っていくための大事な作業である。
分析はやればやるほど実態に近づき把握が可能であるが故にやりすぎると本来の目的を見失い、「分析のための分析」となるケースが多い。
分析の目標を常に自問自答し得られる知見がアクションにつながる意味ある知見か。
また、分析は手段であって目的ではない、パレートの法則を紹介しながらほどほどで実践に移し進めていくことを教えてくれる。
MECE「もれなくダブりなく」そこそこの切り口で満足していないか
MECEって何?で思いました(笑)。「メセ?」「メス?(笑)」
答えは「ミーシー」でした。ダブり( ノД`)シクシク… ・・・変換したら出てきた汗
「ダブりなく、もれなく」と言う意味のようです。
ここでは企業でメンタル不調者が複数出た際、部門別で切り分けた場合、まんべんなく不調者が配置されていた。これを年代別で切り分けると中年層に多いという結果が出る。
ただ、この後に性別と既婚者、未婚者で切り分けた場合、不調者は全員既婚女性であった、と言う例を図を用いて説明してくれている。
正にもれなくダブりなく。少し前には分析はほどほどに、と言われたばかりですがその直後にこれを示唆されると分析にも力は入ってしまいますね( ノД`)シクシク…
ファクト/エビデンス 過去のファクトはエビデンスとして使えるものか?
ファクト=事実 エビデンス=証拠(根拠)だが、移り変わりの激しい世の中において、過去のファクトが必ずしもエビデンスに成り得るか、またファクト自体にエラーがないかなど警鐘を鳴らしている。
これは私の経験ではそれほど事例の無いダークサイドかな、と一旦は思ったが、日ごろ業績を確認する帳票などで小さなエラーがあるのは日常茶飯事だ。
またそれを使い分析を行い、最悪対策に入ってしまうケースもあった。
ファクト自体に疑いを持つ、また複数のファクトを対比するなどのマインドが大事だ。
書籍もそうだが、同じ内容であっても異なる知見を持った情報に触れ、部分的に自身の中でそれらを対比させ正しいと思われる情報をインプットするよう心掛けたい。
質問 共感、気づき、指導など意図や目的を忘れず結論を導く
一言で「質問」と言うとなんの興味も持ちませんが、実は非常に大事な行為です。
目的は様々だが、例えば私は会社で50名近い部下を持っており、その部下の下にはさらに300人ほどのスタッフが居ます。この部下たちが業績を伸ばしていけるよう指導も兼ねて質問をするとするならば、やはり面談を行う事になる。
だが、目的は業績アップ、部下のスキルアップに置いているにも関わらず、面談が始まると80%自分が話をしている、と言ったことがある。これは多くの人があるのではないだろうか。
そして面談が終わると「虚無感」が残り、生産性の低さに愕然とする。ひどいケースでは「アイツはだめだ。自分の意見がまるで無い」などと言う最悪の評価をしてしまう事もあるだろう。
これらのケースでは一体何が悪いのか、
答えは1つ。「質問の仕方が悪い」のです。
だからこそ部下は話をする時間が短くなってしまい、間が開くと空気が重くなると思い、自分が話すことで悪循環が生じる。
ではどうすればよいか。この書籍の中では質問に対する答えがある、ないの2択に加え、それが自分にある、ない、相手にある、ないでマトリクスにしてわかりやすく解説している。
双方にある話題は共感、確認となり、相手になければ指導のチャンス。
自分にはなく相手にあれば情報収集、双方になければ共に考える。
自分が長く話さなければならない要因としてはまず「はい、いいえ」で答えられてしまうような質問の仕方がある。
ではなく、「今日は何について話をする?」→「ではそれについて今後どうなりたい?」→「どうなればいいと思う?(目標)」→「いつまでに達成したい?(期限)」→「何が壁になる?(問題)」→「ではどのように解決していく?(対策)」→「私にフォローできることはある?」など気が付けばPDCAになるような質問の仕方がベストだ。
そして次の面談では「結果はどうだった?」「どう受け止めている?」となり、そのあとは以前の面談と同じだ。
気が付けば面談を重ねるうちにPDCAが回っており、当人にも主体性が生まれてくる。
おっと、これができた時の私の達成感は凄まじく、ついつい書籍から離れてタイピングに夢中になってしまいました汗
ここまでの内容がこの書籍の第1章の半ばです。
この後にはマーケティング、組織、ファイナンス、変革などより経済面の内容をダークサイド面からみて細かく説明をしてくれます。
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